寡婦(かふ)
「寡婦」という言葉はひとり親の制度のなかでよく使われる言葉です。 ややこしいのが、辞書に掲載されているものと、税制で使われるものとで少し意味が異なりますのでこのページで解説します。
寡婦とは
寡婦(かふ)を辞書で調べると、「夫に死に別れて再婚しないでいる女性」「 夫と離婚し、そのまま再婚しないでいる女性」とあります。
つまり、結婚している女性が夫が亡くなったか離婚した場合が、「寡婦」にあたります。
言葉としての「寡婦」はこどものいる、いないは問われません。
時代が移り変わり、ずいぶんと「寡婦」という言葉は使われなくなってきていました。シングルマザーやひとり親という呼び方に変更しています。
しかし、税金の制度やひとり親の制度のなかに「寡婦」という言葉はまだ残っています。
例えば年末調整の時に使われる所得税の控除のひとつ、「寡婦控除」がこれにあたります。
令和2年度から「ひとり親控除」が設定されたため、「寡婦控除」の内容が改正され、税金のなかでは「寡婦」は「子どもがいる方」を含まないことになりました。
関連語句「寡婦控除」のページをご覧ください。
「寡婦」に関係する子育て支援制度などの紹介
児童扶養手当
ひとり親のご家庭の経済を手助けするため、2か月に一度、2か月分の手当が振り込まれる制度です。
母子父子寡婦福祉資金貸付金
ひとり親に無利子でお金を貸してくれる制度です。返還期限は、資金の種類によって違います。
寡婦年金
国民年金における制度です。国民年金を25年以上払った夫が年金をもらわずに死亡した場合、一定の条件を満たす妻に「寡婦年金」が支給されます。支給期間は60歳から65歳までの5年間です。
就業支援
ひとり親家庭の父母が就職するための支援をしてくれるサービスがたくさんあります。職を紹介してくれるだけでなく、学びなおす機会をくれたり、資格を取るときの資金をサポートしてくれたりする制度もあります。
・母子家庭等就業・自立支援センター
・マザーズハローワーク
・ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験の合格支援事業
・自立支援教育訓練給付金
・高等就業訓練促進給付金
母子生活支援施設
シングルマザーと子どもの生活を守るため、母子を入所させる施設です。 施設を退所したあとも、保育所に入所できない場合に使えたり、就職やアパートを借りる際の身元保証人になってくれたりします。
住むところの確保
母子家庭は、公営住宅や都市機構賃貸住宅、民間賃貸住宅、雇用促進住宅において、法律で、抽選による当選率を高くしてくれると決まっています。
保育に関して
保育所へも母ひとり家庭は優先して入れてくれることになっています。仕事が忙しい時などは延長保育、夜間保育、子どもが病気になったときに預かってくれる「病児・病後保育」、放課後児童クラブなども活用しましょう。
各種優遇制度
地域によって、ひとり親家庭の医療費が助成される制度や、JRの定期が安くなる制度など、さまざまな制度があります。
ぜひお住まいの地域のイクハクのページで調べてみてくださいね。
関連語句
Written by 安木 麻貴
(一社)日本子育て制度機構 / 育児制度アドバイザー
誰も教えてくれない子育て支援制度を分かりやすく子育て世帯に伝えています。高校・大学での講話やyoutubeでも。