【熊本地震】避難所生活での妊婦さんと子どもの健康管理

2016/04/22

【妊婦さんや産後間もないお母さんと乳幼児への留意点】
○主治医や保健師の配置
妊婦さんや産後間もないお母さんと乳幼児は、清潔、保温、栄養をはじめとする健康面への配慮や心身の状態の変化に対応できるよう、主治医の確保について、保健師などに相談してもらうことが必要です。

○衛星環境への配慮
妊婦さんに生理用品の配布が行き渡るよう、配慮しましょう。

○心の健康管理
災害により受けたストレスや特殊な生活環境は、母子に様々な影響をもたらす可能性があります。特に産前産後のお母さんの心の変化や子どもの心や行動の変化に気を配ることが必要です。

○プライバシーの保護
着替えや授乳時などに、短時間であっても、プライバシーに配慮をしたプライベートな空間を確保し、話しかけやスキンシップを図ることが大切です。このための空間を確保するため、周囲も配慮できるように理解を求めましょう。

○授乳に関する留意事項
母乳が一時的に出なくなることがあっても、不足分を粉ミルクで補いつつ、おっぱいを吸わせ続けることで再び出てくることが期待できます。また、粉ミルクを使用する際の水は衛生的なものを用意し、哺乳瓶の煮沸消毒や薬液消毒ができない時は、使い捨ての紙コップを使って、少しずつ、時間をかけて飲ませましょう。いずれの手段もない場合は、使用した容器を衛生的な水でよく洗って使いましょう。調乳でペットボトルの水を使用する場合は、硬水(ミネラル分が多く含まれる水)は避けるようにしましょう。

○我慢せずに相談できる環境づくりを
心身の健康状態をチェックし、次のような症状や不安な事があれば、医師・助産師・保健師等に紹介しましょう。場合によっては心のケアが必要なこともあります。

<注意した方がいい症状>
■妊婦さん
・お腹の張り・腹痛、膣からの出血、胎動(お腹の赤ちゃんの動き)の減少、浮腫(むくみ)、頭痛、目がチカチカするなどの変化を感じた場合
・胎児の健康状態、妊婦健診や出産場所の確保に関する不安などがある場合

■産後間もないお母さん
・発熱、悪露(出血)の急な増加、傷(帝王切開、会陰切開)の痛み、乳房の腫れ・痛み、母乳分泌量の減少などがある場合
・気が滅入る、イライラする、疲れやすい、不安や悲しさに襲われる、不眠、食欲がないなどの症状がある場合

■乳児
・発熱、下痢、食欲低下、ほ乳力の低下などがある場合
・夜泣き、寝付きが悪い、音に敏感になる、表情が乏しくなるなどいつもの様子と異なるなどのことが続く場合

■幼児
・赤ちゃん返り、食欲低下、落ち着きのなさ、無気力、爪かみ、夜尿、自傷行為、泣くなどのいつもの様子と異なることが続く場合


【子どもに対する留意点】
○子どもの生活環境を把握し、生活リズムを整え、子ども同士の安全な遊びの場や時間を確保するなど、子どもらしい日常生活が送れるようにしてあげることが大切です。

○可能であれば、季節に応じた取り組み(定例の行事、ラジオ体操など)を行い、遊び場、勉強場所の確保をするのも、子どもたちの日常生活を送る支援になり得ます。

○子どもに話しかけたり、抱きしめてあげたり、スキンシップをとって安心感を持たせてあげるように働きかけましょう。また、睡眠がとれるように環境を整えてあげましょう。

○子供は遊びを通して感情を外に出せるようにすることが大切です。絵を描いたり、ぬいぐるみで遊んだりできるように、遊びの場を確保してあげましょう。

○外見上では判断できない身体的問題(慢性疾患・障害等)を抱えている子どももいることも留意し、声をかけるなどによって、その把握に努めましょう。

○脱水症状の兆候(唇の乾きやおしっこの回数の減少など)がないか注意し、こまめに水分摂取を促しましょう。


【アレルギーを持つ子どもへの対応】
〇ぜんそくの子ども
イクハクニュース/【熊本地震】災害時のこどものアレルギー疾患対応/ぜんそくの子ども

〇食物アレルギーの子ども
イクハクニュース/【熊本地震】災害時のこどものアレルギー疾患対応/食物アレルギーのこども

〇アトピー性皮ふ炎のこども
イクハクニュース/【熊本地震】災害時のこどものアレルギー疾患対応/アトピー性皮ふ炎のこども

(参考:厚生労働省)


[筆者]
育児助成金白書
育児制度アドバイザー
高橋智也