#保育園落ちたの私だ/高橋コラム
2016/03/08
「#保育園落ちたの私だ」
先日当記事でも紹介した「保育園落ちた日本死ね」というブログ記事に対し、国会でも質疑にあがるなど社会問題にまで発展しています。ブログに対し国会内で質疑を受けた安倍首相が「匿名である以上、本当であるかどうかを確かめようがない」と発言し、他の議員から「誰が書いたんだ」などのヤジも出ました。これに対しSNSサイトであるTwitter上では、「匿名だからコメント出来ないなら声をあげよう」と「#保育園落ちたの私だ」というハッシュタグをつくり、署名活動にまで発展しています。
3月4日、5日には国会前に「保育園落ちたの私だ」という内容のプラカードを持参した人たちが集まりました。声を上げてのデモ活動ではなく、ただプラカードを持参し集まるという静かなPR活動が続き、7~8名から始まった沈黙のPRは気が付けば40人程度にまで増えたようです。いわゆる政治批判などのデモではなく、ネット上で複数の人の意思が連鎖して起こった現代的な現象で、非常に短い告知時間で集まったといいます。
告知をした女性自身も20年前に待機児童問題で悩まされたそうで、今問題に直面する世帯のために行動しました。この活動が特定の政党批判や選挙活動に利用されることは望んでおらず、実際に問題を抱える世帯がいてることをPRするということが目的です。
このTwitterでの一連の話題に対し「#保育士辞めたの私だ」というハッシュタグをつくり、元保育士が当時の労働環境や経済事情を語るなどさらに問題が広く露呈されています。経済的理由で辞めざるをえない方が多いようですが、親からのクレーム、先輩保育士からのいじめ、人員不足に対する労働時間の規定超過など問題は様々で、中には妊娠したのに人員不足のため産休を取得できず流産に至ったケースもあるようです。
本年4月より、保育料無料化や保育園定員拡大等の支援策を実施する自治体は多くありますが、実際に子どもを預かる保育士への支援も必要です。現状の人員のまま定員拡大をするとさらに保育士の労働環境が悪くなり、退職するという負の連鎖が続きます。直接子育て世帯への支援策も必要ですが、保育士の労働環境改善や、保育士資格取得に対しての学費支援など、子育て環境を整える支援策も必要になってきます。
[筆者]
育児助成金白書
育児制度アドバイザー
高橋智也