これからの子育て支援に「ネウボラ」を!
2016/02/17
「ネウボラ」という言葉はご存じですか?ネウボラとはフィンランド語で「アドバイスの場所」を意味します。
フィンランドで1920年代に始まったこの制度は、妊娠期から就学前までの全ての家族を支援するという事業です。基本理念として掲げた「貧しい母親にも裕福な母親にも、全ての母親に直接のアドバイスの機会を確保する」というものは90年以上経つ現在でも変わっていません。日本でも問題になっている、育児ノイローゼや母親の育児による孤立化などは金銭的な支援では解決策にはならないことから、フィンランドのネウボラをお手本として地域ごとでサービスの拡充が広まっています。
2016年4月より新たに「出産・子どもネウボラ」事業は始める神奈川県南足柄市では、保健医療福祉センター内に拠点を設け、保健師2人と助産師1人が市内で生まれる新生児に対応するそうです。1人の保健師が、1組の母子を出産前から就学前までの6年間見ていくことで、親も親しみやすく気軽に相談できる環境を整え、子どもの成長段階ごとの変化に気づくことができます。
フィンランドでのネウボラの利用率は妊娠段階で99.8%、出産後で99.5%とほとんどの母子が利用しています。ネウボラを生活の一部として確立させたフィンランドでは児童虐待死数を激減させ、出生率を飛躍的に伸ばしています。今後、日本版ネウボラに期待したいのは①各自治体内でも細かに分かれる窓口の統一②母、子ともに健康な生活を送れるように医療・福祉の連携③育児ノイローゼ、育児による孤立化の抑止です。子どもができ、新生活に向け引っ越しを考えている場合ネウボラを実施している地域を選ぶのもいいかもしれませんね。
[筆者]
育児助成金白書事務局
育児制度アドバイザー
高橋智也