2022年度沖縄県ベスト育児制度賞

2022年度沖縄県ベスト育児制度賞

受賞団体

一般社団法人ある

一般社団法人ある

受賞制度

10代ママクラブ
10代で妊娠・出産した女性を孤立させることなく、安心して子育てができる環境を整え、相談できる力を育むことを目的に「10代ママくらぶ(当事者会)」を開催しています。

【コメント】
 当法人は1997年に発足し、2003年より性教育事業に取り組んできました。その中で、ネットや漫画でポルノ情報が氾濫するような性産業大国の日本社会でありながら、子どもたちが正しい性の情報を得ることができない性教育の遅れを目の当たりにしてきました。
子どもの貧困率が約3割にも及ぶ、沖縄県は、若年妊産婦の割合が全国平均の2倍となっており、十分な性の知識を与えられない子どもたちは、予期しない妊娠出産に至っています。
 少女たちの成育歴をみると、その母親も若年出産であった場合が少なくはなく、世代間連鎖が起きていることは否めません。子どもが子どもを産む「児童問題」であるにも関わらず、10代の妊産婦は、成人女性と一緒に「母子保健」或いは「女性保護」の縦割り行政の間で宙に浮き、制度の狭間で当事者が公的支援につながりにくい現状となっています。
 また、若年妊産婦は、高等教育を受ける機会を十分に得られないまま、一人親となっている場合も多く、性風俗業が少女たちのニーズを埋める就労場所となっているケースも多くみられました。頼れる家庭の無い社会的養護退所者等の若年妊産婦にあっては、家族からの支援も得られない為、さらに子育てが孤立化しています。
 このような当事者が安心して子育てをし、自身の望む人生設計をすすめていく為には、妊娠期から少女たちをまるごと受容し、親も子も育てるきめ細やかな育児支援と、少女たちが自立する為の教育と就労支援が必要だと感じ、当事者のニーズを拾う場として「10代ママくらぶ」を定期開催しています。そこで見えてきたニーズは、オーダーメイドとして個々のサポートに繋げていきますが、まずは関係構築が重要なので少女たちとの波長をそろえて本人を追い越さないサポートを心がけています。また、ことばで何を求めているのか発信することが難しい方もいるので、アドボケイトも意識し関わっています。
 この度は、このような取り組みを評価いただき、素晴らしい賞をいただけたこと大変光栄です。今後も10代ママが笑顔で楽しく子育てができるよう、地域と力を合わせて取り組んでいきます。ありがとうございました。

【選考理由】
このようなグループが全国にほしい。若年出産が多い地域包括的なケアを行っていることを評価しました。