年金(公的年金)
公的年金とは、俗にいう年金のことです。年金は一言でいうと、「あらかじめ保険料を納めることで、必要な時に給付を受けることができる社会保険」です。年金とは老後や突然の事態に備えた保険のことなのですね。一般的に年金というと、退職してからもらう老齢年金のイメージが強いですが、障害を負ってしまったり一家の大黒柱が亡くなったりしたときにももらえます。そういう予測のできない突然のできごとへの備えを、社会全体で支えるためのしくみなのです。
年金の種類
年金には3つの種類があります。一つ一つを以下にまとめました。
老齢給付
〇老齢基礎年金
20歳から60歳になるまでの40年間の全期間に渡って保険料を納めた方は、65歳から満額(平成28年4月~は満額で年間780,100円です)の老齢基礎年金が支給されます。支給されるには、最低でも保険料を納めた期間と免除された期間を合わせて10年以上あることが必要です。額は「加入期間」のみで決まります。保険料を全額免除された期間の年金額は1/2(平成21年3月分までは1/3)となります。
〇老齢厚生年金
10年以上保険料を納めた(免除された期間も含む)人で、1ヵ月以上厚生年金に入っていた人は上記の老齢基礎年金にプラスして65歳から老齢厚生年金ももらえます。老齢厚生年金は「加入期間」と「給料」で決まるので個人差があります。
例)40年間払った人での平均は月に100,576円です。
これが老齢基礎年金にプラスされるのでこの場合、ひと月当たり約16万5000円もらえるということになります。(老齢基礎年金ひと月分:約65000円+老齢厚生年金ひと月分:約10万円)
そして給料が平均より多かった人はこれ以上にもらえるということです。また、65歳からもらえると言いましたが、現在は60歳から65歳までの間も「特別支給」の老齢厚生年金として支給されています。当分の間はこのスタンスでいくようです。
障害給付
重度の障害を負ってしまったときに受けることができる年金です。
〇障害基礎年金
国民年金に加入している間に初診日があることや未納が2/3以上ないことなどの条件があります。しかし20歳未満など、年金に加入義務がない時に初診日があるものは大丈夫です。額としては障害の大きさと子どもの数で変わりますが、例えば障害1級で子どもが1人いる場合、年間約120万円の年金が払われます。
〇障害厚生年金
厚生年金に加入している間に初診日があるならば、給料と加入期間の長さによって上記の障害基礎年金にプラスして障害厚生年金も支給されます。
遺族給付
一家の大黒柱が亡くなってしまったときに残された遺族が受け取ることができる年金です。 遺族給付は、夫(妻)が亡くなった後に残された妻(夫)と子のためのいわば「養育費」です。 そのため、18歳以下の子供(または20歳未満の障害1級か2級の子ども)がいない場合には出ませんし、遺族給付を受け取る権利は、子供が死亡したときや、妻(夫)や子供が結婚(再婚)したときには、なくなります。
〇遺族基礎年金
国民年金をこれまでに2/3以上払った(免除もOK)人が亡くなった場合、その配偶者と子に支給されます。 子供に対して支給されるものなので、子供のいない配偶者には支給されません(ただし年齢によっては寡婦年金を利用できる場合があります)。また、配偶者がすでに亡くなっている場合には直接子どもに支給されます。額は780,100円+子どもの数によって加算される額になります。例として子どもが一人の場合は年間1004,600円です。
〇遺族厚生年金
遺族厚生年金を受給できるのは、亡くなった方に養ってもらっていた配偶者(又は子ども)、父母、孫、祖父母の順で優先順位の高い方に支給されます。遺族基礎年金よりももらえる人の範囲が広く、子どものいない配偶者も受給できます。ただし、子供がいなくて30歳未満の妻は、5年間だけしか受給できないなど、年齢の条件もあります。額は、亡くなった方が老齢厚生年金で受け取るはずだった金額の3/4です。
その他年金
これまで見てきたもの以外にも、公務員の方がもらえる共済年金というものもあります。また、夫を亡くした妻が60歳から65歳までの5年間だけ受け取れる寡婦年金など、年齢や状況によった年金もあります。
気をつけること
ある年金をもらうことで、自分の老齢年金がもらえなくなる可能性もあります。
年金のことについて詳しくは、年金事務所や厚生年金の窓口で相談しましょう。