2023年度孤立・困難抑止部門賞

医療ケア児の家族向けキャンプガイドブック

一般社団法人Burano

難病などで外出する際に人工呼吸器などが必要な「医療的ケア児」と家族が全国どこにいても気軽にキャンプができる社会となるように、医療的ケア児の家族のキャンプ経験をガイドブックとポータルサイトにまとめて発信するプロジェクト

団体紹介

Buranoは医療的ケアや重度の障害がある子どもたちと家族をサポートするプロジェクトチームです。
子どもたちの居場所としての通所事業、母親が働く就労事業、病気や障害がある子のきょうだいさんと一緒に遊ぶきょうだい事業など、さまざまなプロジェクトを実施しています。

なぜこの取り組みを始めたのか?

Buranoに通う子どもたちにとって、外で自然と触れ合って遊ぶことはまだまだハードルが高く、季節の移り変わりや風の匂いを感じたり、虫との触れあいなどはなかなかできません。
大人だって自然を求めてキャンプにいくのに、自然の中を駆け回る年頃の子どもが、ずっと室内にいるのはやっぱり不自然なこと。そんな想いから、医療的ケアがある子どもたちでも参加できるインクルーシブなキャンプ企画がスタートしました。

活動内容と効果

「人生に、野遊びを。」というスローガンを掲げるスノーピークに全面協力いただき、これまで3回のインクルーシブキャンプを実施しました。
呼吸器をつけているお子さんをはじめ、様々な医療的なケアがある子どもたちが1日中自然に触れ、初めてのテントでの宿泊を楽しむことができました。

このキャンプはきょうだいにとっても最高の時間となりました。きょうだい同士が走り回ったり、テントの中でトランプを楽しんだり、これまで経験していなかった野遊びを全身で楽しむことができました。
そして、パパ・ママも焚き火を囲んだり、キャンプ飯を楽しむことができました。そして、そこで得られた知識・経験・工夫をガイドブックとポータルサイトに展開し、全国どこにいても様々な家族の実体験から自分たちのキャンプへ繋げる枠組みを作りました。

▲子どもたちとパパの優しい笑顔

▲きょうだいさんも楽しそうに過ごしていました

▲みんなで記念写真

▲車椅子で芝生の上を歩いてみると普段と違う感覚になる時間

▲初めての焚き火はパパと一緒

▲横になっていてもたくさん遊びがあります

これからの展望

私たちが目指すのは「すべての人がキャンプを楽しめる!」世界です。実現に向けて、今後は全国各地にあるキャンプ場で医療的ケアや重度の障害がある子どもたちや家族がキャンプにトライできる環境をソフトとハードの両面で整備することです。第一歩として、ガイドブックを研修教材としたキャンプ場向けの研修を予定しています。

このような取り組みを実施される方へのメッセージ

医療的ケアが必要でも、重度の障害があってもキャンプは絶対にできます!
そのために必要な情報は私たちのサイトで発信して行きますので、ぜひみなさんもキャンプにトライしてみてください。キャンプを通じて、子どもたちが自然を全身で感じ、様々な表情を見せてくれます。

参考URL

一般社団法人Burano 公式ホームページ

審査員総評

山縣 文治
  • 審査員長:山縣 文治
  • 関西大学 人間健康学部 教授
  • 医療的ケア児法ができたのが3年前。法定化までには、保護者の涙とそれに気付いておられた民間団体の取り組みがあったことでしょう。医療的ケア児や重度障がい児を、家族丸ごと支えていくBuranoの活動に乾杯。
島田 妙子
  • 審査員:島田 妙子
  • 一般財団法人児童虐待防止機構オレンジCAPO 理事長
  • 以前に医療ケア児を支えるご家族の方が「無理無理!そんなのもともと諦めてるよ」とおっしゃったことがありました。自然の力、森や川の匂いには人の心を癒す力があります。この制度は、「無理」「可能」にしてくれる制度だと感じ、選考させていただきました。
LICO
  • 審査員:LICO
  • 作家・ブロガー・子育てアドバイザー
  • 障害を持ったお子さんだけでなく、ご兄弟も普段思い通りにならないことや、寂しさ、我慢、諦めざるを得ない場面も多くあるかと思います。そんなお子さんたちの大切なリフレッシュ・気持ちの共有・経験の場になるはずです。
LICO
  • 審査員:竹田 こもちこんぶ
  • 5児の兄弟の子育てネタでTikTok・執筆など多方面で活躍中
  • まず医療ケア児だけでなくその家族にも焦点を当てているところが素敵。
    起こりうる事態を考察し、対処できるようにガイドブックを制作することによって、ひとつのロールモデルとなり自然体験が難しいたくさんの子どもとその家族を連れ出してくれることに期待。
LICO
  • 審査員:安木 麻貴
  • (一社)日本子育て制度機構 育児制度アドバイザー しんぐるまざあず・ふぉーらむ・関西・神戸ウエスト代表
  • 医療ケアが必要なお子さんが増えており、保護者の方の自助グループや語りの場が地域にも広がっているのを感じています。自然のなかで、家族のそれぞれが豊かに過ごせる時間を確保できるよう応援しております。
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