事業所内保育所の立ち上げを追う!

はじまり

こんにちは!イクハクスタッフのエリーです。

「保育園に入れたいけど空きがない!」「保育園がもっとたくさんあればいいのに!」待機児童の問題は20年以上前からありますが、いまだに解決できずたくさんの保護者が困っています。

実は、保育所を作りたい人たちはたくさんいます。国や自治体から助成金も出るので資金面でのハードルは少し低くなっています。しかし保育所を立ち上げるにはいくつもの基準をクリアする必要があり、年に1度の審査を通過できないがためにオープンできずにいる言わば「待機保育園」がいくつもあるのです。

今回イクハクは、とある認可事業所内保育所をつくろうとしている企業を密着取材して、時系列でここにアップしていきます。

なお、このページは大阪市に特化したものです。自治体によってスケジュールや募集要項は変わりますので、各自治体のホームページ等でご確認ください。

このページが、新しい保育所をつくる方のお役に立てることを願っています。

1.はじまり

2016/06/15

はじまり

2016年6月某日、イクハク運営事務局に一通の相談メールがきました。
送り主は大阪市内のとある企業のAさんでした。

「事業所内に認可保育所をつくろうとしていますが、去年は審査に落ちてしまい、今年は失敗できません。どうかお手伝い願えませんか?」

保育所不足で待機児童が、保育所が増えることはとても喜ばしいことです。それが審査に通らずに終わってしまうなんてもったいない!
そう考えたイクハクは、同じように保育所の設立を考えている人たちに向け、この特設ページを作ることにしました。

2.助成金の種類

2016/06/19

助成金の種類

保育所新設のための助成金には、以下の二つのパターンがあります。
①「認可保育所」として自治体から助成してもらう方法
②認可外でも「企業主導型保育事業」という名目で内閣府から助成してもらう方法
どちらも、助成金の額は大きく変わりません。

以下に、双方のメリットとデメリットを考えます。

【認可保育所】
メリット:自治体から園児を紹介してもらえるため人数の確保が楽である。厳しい審査をクリアするので親御さんからの信頼も厚い。
デメリット:審査の基準が高く、通りづらい。

【企業主導型保育事業】
メリット:認可保育所よりは審査の基準が低いため、自由度が高い。
デメリット:保育所の規模にもよるが、一社では入園を希望する児童の人数を一定数確保できない場合があるため、共同設置をしてくれる他企業を探さなければならない。自治体より児童を振り分けられるわけではないので、毎年企業外(地域枠)でも誘致しなければならない。

これらのことから、Aさんの企業は認可保育所に応募したいと考えていが、公募エリアに入らなかった場合に企業主導型保育事業の方も考えているとのことでした。

特に、今回取り上げている事業所内保育所とは、企業内または事業所の近辺に用意された、育児中の従業員向けの託児施設のことです。小さなお子様を育てながら働く従業員が安心して働けるようにすることで、会社の長期的なブランド形成や従業員満足度の向上、また離職率を下げることなどの狙いがあります。

3.去年の失敗、今年の懸念

2016/06/23

去年の失敗、今年の懸念

前回は、保育所の建物も押さえ、内装や消防の視察も済み、市が出す公募エリアに入っていることも確認し、いざ!という時に、なんと書類の不備で審査に落ちてしまったというAさん。
今回は、同じ失敗を繰り返さないよう、これまでに何件も保育園の申請を通してきた業者に書類作成を依頼したそうです。

今回の懸念事項は「募集地域の中に入っているかどうか」。
募集地域は年々変わり、この地域に入っていないと認可がおりないのです。そもそも、募集があるかどうかというのも定かではないのですが・・・。
募集要綱や地域の発表は8月。このまま手をこまねいて待っていることしかできないのでしょうか!

4.行政に相談

2016/07/11

行政に相談

困ったイクハクは、育児制度アドバイザー高橋を筆頭に、地域の議員さんに相談に行くことにしました。保育園問題などに取り組んでいる議員さんを検索し、弁天町に事務所を構える「西徳人(にしのりひと)議員」にアポを取りつけることに成功!西議員は親身に話を聞いてくれ、現状に対してのアドバイスをくださいました。似たような体形の高橋とも意気投合!(笑)とても気さくで人柄の良い議員さんでした。

5.進捗ないな~

2016/07/28

進捗ないな~

現在、認可保育所の募集要項が大阪市から発表されるのを待っている状態です。
去年は、7月末に発表があったそうなのですが、今年はもしかしたら参院選の影響で発表が遅れているかもしれないとのこと。
応募期間はいつもだいたい1か月しかないそうで、うっかり見逃してしまったなんてことにもなりかねません。
Aさんもイクハクもドキドキして、毎日大阪市のホームページを見ているのでした。

6.説明会開催決定!

2016/08/03

説明会開催決定!

ついに、大阪市のホームページにて、保育施設を運営したい事業者に向けた説明会の日程が発表されました。
開催日時は8月17日の午前中と18日の午前中とのこと。
各事業者2名の枠ですが、イクハクもついていくことができるのかしら?

7.説明会に行ってきました

2016/08/18

説明会開催決定!

大阪市役所にて、保育所設置の事業者説明会に参加してきました。
Aさんの会社の2名枠には入れてもらえなかったので、イクハクとして申請してエリー1人で行きました。
本日はだいたい70名ほどの出席者。45分ほどの説明会に対し、資料はめちゃくちゃ分厚い!ので、飛ぶように進む説明についていくのがやっとの状態でした。とりあえずは今回の募集の地域に入っていることが分かり一安心。

説明会に参加したことで、遅ればせながら趣旨がわかってきました。まず、今回の募集には大きく分けて2つの対象があること。
1つは保育所をつくる段階ですでに出る「整備補助金」を活用した施設、もう1つは自社の財源でつくる施設。事業所内保育所は後者で、その中でもAさんが応募するのは「小規模型事業所内保育A型」というものです。同じ「事業所内保育所」でも、児童の数や保育士の数で種類が変わるようです。前者の整備補助金が出るものと違い、事業所内保育所は書類やヒアリングなどの審査をクリアしさえすれば開設できます。

今後のスケジュールとしては、
①8/3~9/15間に事前登録受付を済ませる(マスト!)
②9/16~9/28間に応募書類を提出する(不備の無きよう!)
③10月中旬以降、審査部会によるヒアリングに出席(6割以上クリアすること!)
④11月中旬、審査結果の公表
です。

一つ一つ、慎重にクリアしていきたいところです!

8.書類提出

2016/09/28

書類提出

前回に書きました今後のスケジュール。
①8/3~9/15間に事前登録受付を済ませる(マスト!)
→こちらは早々に済ませたとAさんからご報告いただきました。
②9/16~9/28間に応募書類を提出する(不備の無きよう!)
→こちらは期間いっぱい、確実に不備がないようにと、市役所の方に相談したり、その時に指摘されたことを直したりして、結局5回(!)市役所に足を運んだAさん。本日9/28に無事に書類を提出されました。
この期間は相談期間でもあったのですね。
とちゅう、市役所の人と食い違いがあったり、不足書類があったりして何度も直すことになったそうなので、皆さんも書類は早めに作成して、不備を直すための時間をゆっくり設けましょう!
ちなみに、不備がないことが確認できたら、最終的に正本1部と副本6部を用意して提出します。

次回は10月中旬以降の審査部会の際に更新予定です。

9.不合格発表

2016/11月某日

不合格発表

審査部会も終わり、発表を待ち焦がれていたところ、ようやく市のホームページ上で発表がありました。結果は不合格。一同愕然としました。書類の不備はほとんどなく、エリアにも含まれていて、自主財源でやるという企画なので落ちる理由など全く思いつかず・・・。
ちなみにこの時に合格した企業はゼロでした。
こんなに保育所不足が叫ばれているのに。何度も窓口に相談に行って確認したのに。こことここを直せば受かりますよって言ってくれたらよかったのに。すでに莫大なお金がかかっているのに。私エリーの心は不信感でいっぱいになりました。でも落ちた理由も発表されていました。足りなかったところを直して出直してこいということなのでしょう。
2次募集も来年2月にあるとのこと。ここは気を取り直して再チャレンジ!
Aさんは私よりももっと「はぁ~」でしょう。イクハクの応援は続きます!一緒に頑張りましょう!

10.2度目の結果発表

2017/04/24

2度目の結果発表

前回の残念な発表から5か月。新年度はとうに始まったのにAさんから連絡もなく、イクハク内でもなんとなくこの件について触れられない雰囲気・・。
本日、久しぶりにAさんからの電話が鳴りました。「2度目の結果連絡があり、合格しました!」とのこと!!
やったー!ついにやりましたね!!おめでとうございます!!!
前回、引っかかった項目は「駐輪場がないこと」「階段に手すりがないこと」など6点でしたが、外部要因は他の企業と協力して解決し、内部施設の問題は手すりをつける計画案を出すなどして解決。しばらく連絡がないと思っていたら、2次審査のために奔走していたんですね、Aさん!素晴らしいです。
今後は保育士の確保、実際に入園する子どもの募集、手すり計画などを実行にうつす、などなど、まだまだ忙しいそうです。
10月のオープンまでに、しっかり準備してくださいね。

11.さいごに

2017/04/25

さいごに

これで、イクハクの事業所内保育所を追う企画は終結をみました。
保育所不足とはいえ、大切なかよわい子どもを預かる以上、不完全な施設に認可を下ろすわけにいかないという、市の意向がよくわかりました。それだけに、いろんな基準で厳しくチェックされています。
今回のAさんの企業も、保育所の立ち上げを志してからここに至るまで2年半かかりました。
これから保育所を作る方は、専門の業者さんにチェックを頼むなどして、万全の準備で挑むことをお勧めします。
1発合格はほぼないと覚悟し、2度3度挑むつもりでいるくらいがいいでしょう。
最後に、改めて、Aさんの保育所の合格へのお祝いと、今後の発展をお祈り申し上げます。

エリー

Fin.